ある朝のこと

一昨年のある冬の朝
目が覚めた
外は
薄暗く
冬の雨の匂いがした


直前に夢を見てた
んー
もしかしたら夢ではなく
幻覚？幻聴？
まぁとにかく
夢か現実か　どちらとも言えないような感覚

亡くなった兄が　苦しんでた
胸に手を当てて
天を仰ぎながら　涙流して

「苦しい・・・」

それしか聞こえない


そんな兄を見てるだけのおらは
もっと泣いた


「何もできへん・・・ごめん・・・ごめん」


兄はおらの存在に気づぃてないようだ
必死に声を出す

「まさくん！」


兄の苦しみは増すばかりで
声にさえ力がなくなりはじめる


「く・・・・るし・・い」


「まさくーーーん！！！！」


涙でぐしゃぐしゃになりながら叫ぶ



やがて兄が倒れこんだ
そして・・・・そのまま動かなくなった



「いややああああ！！！！」




気がつくと　ベッドの上

胸が苦しい
全身が震える
手がしびれる


「心臓が止まる？」


そんな風に思ったとたん
どうしようもないほどの不安が襲い


「死にたくない！」
と叫んで泣いてた



ふと　飾っている写真の兄と父を見た


少し落ち着いた



ベッドに腰掛けて
父が好きだった歌をハミングで歌う
♪岡本真夜の　Tomorrow♪



見るものすべてにおびえないで　　

明日は来るよ　君のために


苦しいこと
悲しいことだらけだった
生きてる意味もわからなかった

でも　生きていこうと思ったのは
周りに大事な人たちが居たから
励ましてくれる人が居たから


「さやちゃん居なくなったら　アタシどうしたらいいん？」
そういってヨリーが泣いた



最後に
「幸せになれ」
と言って死んだ父

「おまえが笑ってたらにーちゃんも嬉しいねん」
いつもそういってた兄


おらが笑ってないと

パパとまさくんに怒られる
一生懸命がんばる
生きる

甥っ子とよりちゃんと笑っていこう


そう思った


「Tomorrow」　良い曲です